ku(京大教育) さんの投稿記事

振り返り

先週で、最後の授業が終了しました。

生徒さんには、最後まで楽しんで一緒に学習をしてもらえました。

一年と少しという短い間でしたが、楽しく授業ができたのは、生徒さんの明るい性格と、お母様の熱心なサポートがあったおかげだと思います。

学校の学習では、認知に難しさを持つお子さんのサポートまでは行き渡らないこともあると思います。そういう点で、家庭での学習が受け持つ役割は大きいでしょう。

でも、ご家庭で生活をともにしているお母様が「先生」になることには難しさもあると思います。そんなとき、「家庭教師」がその役割を引き受けることで、メリハリがつくのではないでしょうか。

実際、「学校で勉強して、家で教えても、解法のこだわりが抜けないので、先生からやりやすいやり方を示してもらえませんか」などのリクエストを受けて授業をしたことも多かったです。また、お母様の熱心なお姿には本当に頭が下がり、授業を真摯にやろうという気持ちがいっそう深まりました。

「子どももですが、私も精神的に楽になりました」

そう言って頂けた時は、本当にうれしかったです。

発達障害をもつお子様、ご家庭への家庭教師のニーズは高いと思います。シリウス京都さま、所属の先生方、これからのご健闘をお祈りします。

早期教育とは?

書店などでよく、「ゼロ歳児からの教育」などといった本をよく見かけます。最近の脳科学ブームにのって、「脳科学の知見から」という折り紙つきのものが多いように思います。

でも、乳児の発達を学んでいるものとしては、「え、そんなことわかっていたっけ?」ということが多いのです。本に載っていることがすべてウソというわけではないのですが・・・

まず一つ目の問題として、「脳科学でわかりました」と言われていることは、大人での実験や、サルでの実験をもとにしていることが多いです。

大人であれば、言語教示に従って脳の活動を計測する間じっとしていてくれるし、課題をおこなっている間の脳の活動を調べることができます。サルであれば、脳に直接電極を差し、脳波をとる・・・ということが行われています(このことに関する倫理的な問題は検討されるべきだとは思います)。

それに比べて乳児で脳の活動を調べる、ということはとても難しい。なぜなら、赤ちゃんはこちらの思うとおりに動いてはくれないし、実験をするときには倫理的な制約が大きいからです。

発達途上にある乳児や子どもの脳の仕組みと、大人やサルのそれを同じに扱ってよいものかどうかは大いに疑問です。

二つ目の問題としては、何かのトレーニングが、発達後の能力に影響を与えることを科学的に実証するのは難しいということです。

これを明らかにするには、乳児の能力を縦断的に調査しなくてはいけませんが、そういった調査は困難で(長くなるので詳細は略)、あまりなされていないということが現状です。

ではどういったことがわかっているのか?このトピックに関して書きたいことは山ほどあるのですが・・・苦笑 今回はここまでとして、私が良書だと思う本をあげておきます。参考までに。

子どもの心の発達がわかる本 ・ 赤ちゃんと脳科学 (どちらも小西行郎著)

合格おめでとう!

合格おめでとうございます!

私が受け持っている、小学6年生の生徒さんが、無事志望校に合格しました*

合格を報せる電話では、「むっちゃ緊張したー」と話していました。その不安を乗り越えたことが、本人の自信につながるのではないでしょうか。真面目に、こつこつ取り組んだことの結果が出たんじゃないかな、と思います。

自分で受験すると決めて、一度も「やめたい」といわずに自分に向かい合ったことを、自分でほめてあげてほしいなぁと感じました。

今回の受験過程でついた自信をもとに、今後の生活でも、自分の好きなことにチャレンジしていってほしいなと思います。

本当におめでとう!

今年から、来年へ

今年もあとわずかになりました。小学校は明日が終業式でしょうか?楽しいクリスマス、お正月を過ごせるといいですね!

小学3年生の男の子さんを担当しています。彼は字の読み書きが苦手ですが、とても元気で、いろんなことを思いついたり、私に説明したりするのがとても上手な子です。

授業は、主に学校の宿題をやり、残った時間は私の考えたフォローアップ課題や、彼の好きなゲームを使った課題をやる・・・という感じで半年以上一緒にやってきました。じっと机に座って、黙って宿題をする、というのが彼には一番つまらない!ようで、休憩や遊びをはさみながら、できるかぎり楽しく勉強を・・・という方向でした。

それが先月、祝日が授業の日と重なったりして、宿題がなく時間がたっぷりあったときがありました。なのでその日は、「遊びの中で勉強する」課題ばかりをやってみました。

例えば、ジェンガ。漢字を一問書けたら、生徒さんがジェンガを1本、私は2本抜く。書けなかったら生徒さんが2本、私が1本・・・などです。このような課題をい4つほどやってその日は終りにしました。

すると!翌週、「先生と遊びの勉強したいから、先生来るまでに宿題全部終わらせといたで!」と・・・!!

これにはびっくりしました。え~?!宿題の漢字ドリルにあんなに時間がかかっていたのに?!

遊びをとりいれて楽しくやってほしいなぁと思う一方、宿題が終わらなかったりするといけないし、やはり遊びの形ばかりだと学習効率が悪い・・・と頭のカタイ(笑)私は思っていた節もありました。

でも、こどもってすごいな、と思いました。

できるだけやる気を引き出せる形で、といつも心がけてきたつもりですが、甘かったです。笑 それから毎週、宿題は別で、私とはプラスアルファの勉強ができるようになっています。

今年、2人のお子さんとお母様と出会い、私が思っていた以上に、とても勉強になり、楽しい時間を送れました。特に12月は、書ききれませんでしたが、どちらのお子さんにとってもターニングポイントだったように思います。来年もうまくつなげていけたら、と思います。

また来年も宜しくお願いします!

情動のポイント

自閉症の方々は、(平均すると)「他者」より「モノ」に注意が行きがちだ、ということがさまざまな実験から言われています。それはなぜなのでしょうか?

まず、能力が欠けているのではありません。「こちらを見て!」といわれて、見ることはできます。ただ、ほかの人に比べて「自然に」見ることが少ない、ということのようです。

ヒトの赤ちゃんは、ただの「モノ」より、社会的なもの、つまり「他者」に自然と注意を向けやすいということが明らかになっています。自分の行動や表情に合わせて反応してくれる周囲の人々、それが「他者」です。ではなぜ、自然と「他者」に目が行くのでしょうか?

そのキーとなるのが、「情動」です。おそらく、赤ちゃんは、他者に注意を向けられ、関わりをもたれることが「快」なのではないでしょうか。「快」であると、自然とそれを求めて他者のほうに目が行く、また、「快」となる、また見る・・・というスパイラルがあって、そのコミュニケーションのなかで、赤ちゃんは言葉などを学習していくのでは、という見解が出されています。(脳で言うと、報酬系に関わる回路だと思われますが、発達分野での脳研究は制約が多く、詳しいことは分かっていません。)

「他者」より「モノ」に目が行きがちだ、ということは、自閉症の方々は、生まれつきこの「快」のポイントが少し異なっているのかもしれません。

もしそうであるのならば、例えば、それを無視して無理やりに「人の顔を見なさい!」と教えることが果たしていいことなのでしょうか?

もちろん、社会生活を営む上では重要なことです。けれど、私たちが感じるここちよさが、自閉症の方にとってのぎこちなさや不安であるのかもしれません。それをいつも強要されると・・・逆に、「不快」のスパイラルにはまってしまうことはないでしょうか。

私たちだって、人によって「ここちいい」と感じるポイントは違いますよね。外に出るのが好きな人、家で何かするのが好きな人・・・。自閉症の方の場合、それが社会生活全般に響いて、目だってしまう・・・そのようにとらえることができるかもしれません。

これらは、実際にかかわってみるとすぐにわかることだとも思います。認知科学の解釈が、ようやく追いついてきた、とも言えるかもしれませんね。

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ku(京大教育)
京都大学大学院教育学研究科教育心理系に所属 発達障害の子供の療育に、「こころの未来研究センター」にて関わっています。

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