chappy(京大教育) さんの投稿記事

「手書きの卒論」と「タイムマシン」

先日、指導教官の先生にサインをいただいて、図書館にて先生の学生時代の修士論文を見させていただいた。そして、原稿用紙に万年筆でびっしり書かれた100枚の論文(註を入れて150枚以上)に、私はたいへんな興奮を覚えた。手書きの論文は当時としてみれば当たり前だろうが、私たちはあまりにパソコンで書いた文章に慣れてしまっているため、あのような大量の手書き文章に出会うと不思議な感覚に襲われるのかもしれない。

私はその論文をよみながら、その万年筆の文体や筆圧や古い焼けた原稿用紙を通して、数十年前の先生に対面している感覚を強く覚えた。100枚の論文の中には、至極慎重に筆を進めている箇所から、ざっと流すように筆を進めている所まで、「字」を通して著者のリズムや感情の起伏が伝わってくる。したがって論文の内容の展開とそうした起伏をシンクロさせながら、著者の思考を読み解くことも可能かもしれない。それから、パソコンで書くのと違い、「書きなおしが許されない」という書くことへの緊張感をも感じられる気がした。それでも間違った文字には、丁寧に紙が貼られ、その上から書きなおされていた。論文の内容だけでなく、まさに「血と汗の結晶」の論文だといえる。

私はこれから論文執筆に取りかかろうしているが、原稿用紙に書かれた論文にこうして触れられたことは、とても幸いな機縁だったと思う。数十年前の先生との対話を通して、気持ちを引き締めて「書く」ことに取り組みたいと思う。

そして、「手書きっていいね」。それが今回の簡単な結論。しかもそれを残しておいてずっと後から見なおすこと。そこにはパソコン以上の複雑なメディア機能が示される気がする。面白い可能性を秘めている。アナログの可能性。いや、アナログ賛美が過ぎると年齢がばれてしまうので、この位にしておこう。では。

自学

シリウスで家庭教師をはじめて、もう二年目に向かおうとしています。時の早い流れを感じます。

自宅学習においては、気持ちのメリハリをつけて机に向かうことが大事だなとつくづく感じています。だらりとした気持ちで長時間勉強してもケアレスミスをたくさんしてしまったり、いいアイデアも浮かばない。そのことを時々指導しているのですが、わが身を振り返ってもあまり偉そうなことはいえないなとよく思います。

時間をうまく使うこと、自分の気持ちをうまく切り替えること、自分の計画を自分でたてること、自分との対話で、その計画をうまく修正していくことなど、挙げると切りがありませんが、つまり、自学のマナーを体得することといっていいでしょう。この体得がなかなか難しい。私自身も今年度は「自学のマナーを体得すること」を念頭に過ごして参りたいと思っています。

最近の「数学の授業」

家庭教師をはじめて、数か月が経過した。中学生(男)に数学を主に教えているのですが、毎回とても楽しみである。

私は、自由帳を持参して、彼の部屋に置いてもらっている。そこへ、毎回、様々な書きこみをして、彼も、お母様も、いつでも振り返られるようにしている。私も、いつ、どこを学んだかをそのノートで確認するようにしている。

彼が数学の問題を解いて行き詰っている時、どのタイミングで、どういう言葉をはさんでみようかと懸命に模索するライブ感が、私はたまらなく好きである。そして、それがうまくいった時、「そうか。」という自分で閃いたような眩しい反応をしてくれる。

数学は楽しい。時々こちらが思いもかけないような解法を、生徒のほうが編み出してしまう。また時々、難しい問題に、私も彼と一緒に躍起になって取り組んでみたりする。以前は先生だから、何でも軽々と解けるようにふるまおうとする自分が強かった。でも今はたまには、危うい自分を見せて、その中で、「まずい」という思いで必死な姿を見せるのも悪くないと思えている。

除夜の鐘のポリフォ二ー

京都で初めて大晦日を過ごしました。雪がひらひらと舞う中を、寒さに震えながら、私は仲間を連れだって知恩寺にむかいました。出町柳の駅辺りで、0時をまわったのでしょう。静かな響きで、あちらこちらから、除夜の鐘が聞こえてきました。雪はひらひらと舞う中、静かな冷たい時のかなたで。そして私のこころはほのかに華やぐのでした。いくつもの鐘の音の重層をあのように聴けるとは思いもかけないことで、私は京都にきて良かったと、震えながらも実感した一時でした。

知恩寺では、大きな火が焚かれ、皆が集まっていました。火で皆の顔色が赤みがかって見えました。冷たい氷がとけたような、つやのある緩んだ笑顔が火を囲んでいました。一人のおじさんに声をかけられました。おじさんは2000年からこの十年を振り返り、感慨深く私たちに語りかけました。

おじさんの話を聞いていて、2000年を超えてもう十年経ってしまったのかと、初めて気付きました。私にとって、長くて大変な十年だったなと思いました。でも、連なる鐘の音とパチパチ燃え上がる炎、舞い降りる雪、からだに沁み渡る甘酒の熱、そして群れ囲う人々の笑顔に、私のからだは否応なしに踊ってしまいます。不思議な忘れがたい、祝福の時間でした。

鍋のすすめ

鍋の季節ですね。先日友人達と5人でキムチ鍋をしました。友人の一人が実家のレシピと流儀に基づいたキムチ鍋を披露してくれました。今回はそれを紹介し、鍋にまつわる話をしたいと思います。

まず、笹がきにしたゴボウ、骨つき鶏肉、エビでだしをとります。そこにエバラのキムチ鍋のもとを入れます。そして白菜、ネギ、シイタケ、しめじ、くずきりなどをいれていき、豚肉は各自食べる分だけ入れます。鍋の最後に入れるうどんは一人一玉は用意します。(以上)骨付き鶏肉とエビを入れることに、私は最初?と内心思っていたのですが、よくだしが出ていて非常に美味なキムチ鍋でした。良ければ、お試しを。

ちなみにその友人の実家では、季節を問わず一月に数回は必ず鍋をするのだそうです。冬に限らず、夏鍋というのもいいですね。また、同じ鍋の中を箸でつつくというのは、非常にお互いの親密を増す体験だと思われます。みなさんも鍋をして「からだ」と「こころ」と「ふところ」を温めましょう。(鍋は安くすむので、不況にも優しいです。)ただ注意が必要なのは、せっかくみんなが親密になれる鍋なので、「我が家の鍋流儀」をめぐって争うのは程々にしましょう。程々だと楽しいです。それでは皆様、良いお年を。

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chappy(京大教育)
京都大学教育学部3回 私立開成高校出身です。教育哲学を専攻しています。走ること、歌うことが趣味です。よろしくお願いします。

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