生徒を見る目(4)
前回までは、広汎性発達障がいがあるかもしれないと思った生徒が、特に問題がなかったというお話でした。今回は少し複雑なケースにアレンジを加えてご紹介します。
中3のB君が初めて教室にやってきたときのことです。母親に伴われてやって来たのですが、玄関から内側へなかなか一歩を踏み出そうとしません。憶測ですが、訳も分からないまま連れてこられたという戸惑いがあるようです。
靴を脱ぎスリッパを履いて前に進もうとしますが、動きがゆっくりゆっくりなのです。その様子を見ていると、どうやらカーペットのつなぎ目の線を辿って歩いているようです。やがてその線がなくなり、それ以上先へ進めなくなってしまいました。
「あっちに良さそうな線があるから、そっちまで行ってみようか。」
カウンセラーの先生がうまく誘導して、ようやくB君が教室内に入ってきました。ここまで10分はかかったでしょうか。さらに5分程かかって床に座り、それからお母様のお話を聞くことになりました。詳しいことは省きますが、かわいがってくれた上級生がいなくなってから、状態が悪くなってきたようです。
彼のもともとの特性の問題だと思っていた私は、心の問題が大きく影響していることを知り、ショックを受けました。自分の思い込みで人を見ていることに気付かされたからです。
(続く)
