印象形成
社会心理学の分野で有名な先生の講義を受けていて、おもしろいなぁと思った実験があったので、論文にあたってみました。社会的認知の中でも、印象形成という分野の論文です。
まず、被験者は、ふたりのアメリカの選挙候補者の顔写真を1秒だけ見せられます。そして、その写真が消えてから、その候補者ひとりひとりについて、どれくらい有能だと思ったか評定します。被験者がやる作業はこれだけです。
おもしろいのは、この有能さの判断が、実際にアメリカで2000年代に行われた議会選挙の当選を70パーセント近い確率で予測できていたのです。心理学の分野では、有意確率というものを出して、その結果が偶然に起こりうるのかどうかを判断しますが、偶然では、0.1パーセントの確率でも起こりえない結果になりました。
国や地方の将来を決めるための重要な選挙に対して、簡単に言えば一瞬の第一印象がその結果を決めていたのかもしれないということになります。
怖いです。第一印象で、そんな重要な判断を下してしまうなんて、、
認知心理、社会心理の分野でこの現象を説明すると、こんな感じになります。
人の認知には、認知資源を用いずに無意識的に外界を認知する自動的過程と、認知資源を意識的につぎ込んで外界を把握しようとする統制的処理があると仮定しています。これを認知の二過程説といいます。
実際の選挙で言えば、その候補者のプロフィールを見たり、所属する政党の考え方を聞いたりした上で、誰に投票するかを決めるのが、統制的処理ですが、今回の実験では、候補者に対する情報が全くない状況で、1秒だけ顔写真を見て、その候補者の有能さを判断しているのが、自動的処理です。
ヒトはこれだけ文明化された社会に住んでいても、自動的処理の影響を強く受けている。選挙という社会的、二次的な統制的処理をしていると思っていて場においても、実はその判断に自動的処理の影響が強く残っているのではないか?というのがこの論文の提起でした。
普段の生活にもよくありそうで、考えさせられるものがありました。