Yu(京大教育) さんの投稿記事

明けまして

あけましておめでとうございます。皆様にとって今年一年が実りのある一年になることをお祈りしています。

 

少し前に、世界的にも有名な気鋭の研究者達による特別レクチャーに参加することができました。レクチャーでありながらも、ディスカッションが半分ほどあったので、中学や高校の授業とはだいぶ雰囲気が違います。京都大学の医学部や文学部、教育学部などの学生だけでなく、東京大学や名古屋大学の学生、大学院生、他の大学の先生方も参加していました。

 

様々なことを感じることができた3日間だったのですが、そのうち、先生方の研究者としての能力の高さに特に驚きました。知識の量はもちろん、論理的思考力や、情報処理能力、自分の考えを的確に他者に伝える能力など、先生方のディスカッションを聞いていて、内容を理解するのに精一杯で頭がパンクしそうでした。

 

こうした能力の高さも、日々の努力や経験の賜物であることを考えると、僕も日々精進していきたいなと感じました。

 

そろそろ受験シーズンになりますが、終わりよければ全て良しとは言い切れないものの、最後が肝心ですので、受験を迎えられる学生さんは、健康に気をつけて悔いのない日々をお過ごしください。

比較

卒業論文に取り組んでいると、周りの友人の動向が気になってしまいます。

それ自体は必ずしも悪くはないと思いますが、気になりすぎて自分の研究のペースが狂ってしまったり、クオリティが下がってしまうのはもったいないことです。

みんなそれぞれ研究の領域が違ったり、目指しているものが違うので、単純な比較はできません。

そういう時、僕は、友人という他者との比較ではなく、少し前の自分と比較するように意識しています。

少し前の自分にはできなかったことができるようになった。知らなかったことを知った。自分の短所に気がついた。他者との比較では見えてこない自分の成長に気付けます。

自分が成長していることに気がつくのはとても嬉しいことだと思います。研究だけに限らず、他のさまざまなことでも意識したいなと思います。

印象形成

社会心理学の分野で有名な先生の講義を受けていて、おもしろいなぁと思った実験があったので、論文にあたってみました。社会的認知の中でも、印象形成という分野の論文です。

まず、被験者は、ふたりのアメリカの選挙候補者の顔写真を1秒だけ見せられます。そして、その写真が消えてから、その候補者ひとりひとりについて、どれくらい有能だと思ったか評定します。被験者がやる作業はこれだけです。

おもしろいのは、この有能さの判断が、実際にアメリカで2000年代に行われた議会選挙の当選を70パーセント近い確率で予測できていたのです。心理学の分野では、有意確率というものを出して、その結果が偶然に起こりうるのかどうかを判断しますが、偶然では、0.1パーセントの確率でも起こりえない結果になりました。

国や地方の将来を決めるための重要な選挙に対して、簡単に言えば一瞬の第一印象がその結果を決めていたのかもしれないということになります。

怖いです。第一印象で、そんな重要な判断を下してしまうなんて、、

認知心理、社会心理の分野でこの現象を説明すると、こんな感じになります。

人の認知には、認知資源を用いずに無意識的に外界を認知する自動的過程と、認知資源を意識的につぎ込んで外界を把握しようとする統制的処理があると仮定しています。これを認知の二過程説といいます。

実際の選挙で言えば、その候補者のプロフィールを見たり、所属する政党の考え方を聞いたりした上で、誰に投票するかを決めるのが、統制的処理ですが、今回の実験では、候補者に対する情報が全くない状況で、1秒だけ顔写真を見て、その候補者の有能さを判断しているのが、自動的処理です。

 ヒトはこれだけ文明化された社会に住んでいても、自動的処理の影響を強く受けている。選挙という社会的、二次的な統制的処理をしていると思っていて場においても、実はその判断に自動的処理の影響が強く残っているのではないか?というのがこの論文の提起でした。

普段の生活にもよくありそうで、考えさせられるものがありました。

単純接触効果

今日は、僕が学んでいる心理学について簡単にご紹介しようと思います。単純接触効果という言葉を聞いたことがありませんか?最近心理学はテレビとか雑誌でもよく取り上げられているので、知ってる人も多いかと思います

単純接触効果(mere exposure effect)とは、対象を何度も見たり聞いたりしただけで、その対象に対する好意や印象が高まることを意味します。

Zajonc(これでザイアンスって発音する・・・)は、見知らぬ人の顔写真をただ繰り返し見せるだけで、呈示回数が多ければ多いほど、その対象に対する好感度が高まることを明らかにしました。

この効果を説明する理論としては、知覚的流暢性の高まりによる誤帰属を起こすからだと言われています。

まず、知覚的流暢性の高まりとは、呈示回数が多ければ多いほど、対象に対する情報処理が早くなることを言います。これは当たり前ですよね。。慣れてくれば早くなる

誤帰属というのは、その名の通り、誤って帰属すること。この文脈では、帰属とは、原因が何かを判断することです。理由をこれだと断定すること。

対象を何度も見ているうちに情報処理のスピードは上昇するが、その感覚に対して人間の脳はその原因を反復呈示ではなく、対象に好意があるからだと帰属してしまう。

単純接触効果は様々な領域で利用されています。分かりやすいのは、宣伝や広告。例えば、買い物とかしてて、なんかいいなって目につくのは、その商品自体が優れているからではなく、実はそれ以前にCMを何度も見ていたからかもしれないって話です。

ただ、たくさんCMを流せばその商品がよく売れるわけではないようです。物を買わせるためのいいCMの条件のひとつとして、インパクトが強すぎないことがあるようです。商品が目に付いた時に、「あぁ、これに目がいくのはCMでやってたからだ」という風に判断されてしまうと、誤帰属は起こらなくなり、CMに影響されたくないぜ、と思ってしまって、商品の購入意欲が下がってしまう。さりげなく人の脳に刻み込まれるCMがいいんだそうです。

CMが人のこころに与える影響はいろいろな次元があるので、一概には言えませんが、、

ただ、反復呈示されるものへの第一印象が負であるときは、より不快感が増すということも知られています。

しかも単純接触効果は無意味な図形や記号に対しても生じるらしいです。すごくないですか?意味分からない図形を何回か見せられるだけで、ええ形だなと思うようになる

さらに、よく分からないことに、閾値(人間が見たり聞いたりできる最低ライン)下で呈示された図形に対しても単純接触効果が起こることをザイアンスは提示しています。つまり目に見えているという実感がなくても、対象に対しての好意の評価をしているということです。このように、閾値下で影響を与えることをサブリミナル(subliminal:閾値下の)効果と言います。

昔、オウムの映像を閾値下でテレビ放送して問題になりました。気付かない内に自分の好みや判断を操作されているということです。怖い ですね

また、単純接触効果は、人間だけではなく、ネズミなどのほかの動物でも確認されているそうです。自分に対して危害を加えない安全な対象に繰り返し接していると、対象を好意的に判断するようになるのは、動物が生命の維持を可能にしていくために備えている優れたシステムなんでしょう。

甘え

「結果だけでなく、過程も重視しろ」、「相手ではなく、自分に克つことに集中しろ」とは様々な分野でよく言われることです。他人と比べたり、絶対的な基準と比べることも時には必要ですが、それ以上に、その行動をとる前の自分と比べてどれだけ成長できたかを大切にしたいと個人的にも思っています。自分に対する評価ははっきり分かります。自分が手を抜かずに、自分なりにベストをつくせたのかどうか、自分に嘘をつくことはできません。

 

ただ、これを自分に対してではなく、他人を評価する時に難しさを感じます。その相手がどれだけ頑張っているかは、その人にしか分からないからです。自分なりに考えてしまうと、「どうしてこんな簡単なこともできないのか」などと思ってしまうこともあります。何かができないという状況においても、単なる「甘え」なのか、その人なりにベストを尽くした結果なのか、見極めることはとても難しいです。

 

だからといって相手を評価することから撤退するのではなく、その相手と普段からコミュニケーションをとることで、そのひとの頑張りをよりその人に近い立場で評価することが大切なのではないかと感じます。

 

家庭教師で生徒さんに接している時だけでなく、普段の生活でも感じることです。自分の判断基準で他人を評価しないこと、他人の評価を気にしすぎないこと、自分に嘘をつかないこと、言葉で言うのは簡単ですが、実際に行うのはとても難しく感じます。

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Yu(京大教育)
現在、京都大学教育学部・教育心理学系に所属しています。出身は愛媛県の愛光高校です。専攻は社会心理学・文化心理学ですが、心理学全般について学んでいます。生徒さんが楽しく学べること、そして僕自身も楽しみながら指導することができればいいなと考えています。

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